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はじめに
特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias;IIPs)はアメリカ胸部学会(American Thoracic Society;ATS)とヨーロッパ呼吸器学会(European Respiratory Society;ERS)の合同会議により現在7つの亜分類に分けられている1).すなわち,①特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)―病理学的診断(usual interstitial pneumonia;UIP),②非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia;NSIP)―病理学的診断(NSIP),③特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia;COP)―病理学的診断(organizing pneumonia;OP),④急性間質性肺炎(acute interstitial pneumonia;AIP)―病理学的診断(diffuse alveolar damage;DAD),⑤呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患(respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease;RB-ILD)―病理学的診断(respiratory bronchiolitis;RB),⑥剥離性間質性肺炎(desquamative interstitial pneumonia;DIP)―病理学的診断(DIP),⑦リンパ球性間質性肺炎(lymphoid interstitial pneumonia;LIP)―病理学的診断(LIP)である.なお,IIPsの和文表記は日本呼吸器学会びまん性肺疾患 診断・治療ガイドライン作成委員会による「特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き」改訂第2版2)に従った.
本稿に与えられたテーマはIIPsの侵襲的検査である.「侵襲的検査」は観血的検査を意味することが多いが,厳密な意味での医学的な定義は曖昧である.画像や血液検査などのルーチンに行われる検査で診断がつかない場合の診断確定のための外科的生検や,予後に重大な影響を与える肺高血圧を検討するために行われる心臓カテーテル検査などが侵襲的検査に相当すると思われるが,本稿では侵襲的検査の範囲をより拡げ,上記の検査以外に経気管支肺生検,運動負荷試験などにも触れてみたい.
侵襲的検査は患者に侵襲を加えるという不利益よりも,侵襲的検査を行うことにより得られる情報のほうがより大きな利益をもたらすという前提があってはじめて成り立つ検査である.検査の意義を患者に十分説明して,理解・承諾を得たうえではじめて施行できることはいうまでもない.
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