Japanese
English
綜説
生活習慣病としての心腎連関
Cardio-renal Continuum:life-style related disease
柏原 直樹
1
Naoki Kashihara
1
1川崎医科大学腎臓・高血圧内科
1Division of Nephrology and Hypertension, Depertment of Internal Medicine, Kawasaki Medical School
pp.803-810
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101761
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はじめに
これまで腎臓病の終末像は血液透析や腎移植を要する末期腎不全であるとみなされてきた.ところが近年は,腎不全へ進行する以前に,軽度腎機能低下やアルブミン尿などの検尿異常を呈した段階で心血管疾患(cardiovascular disease;CVD),すなわち心筋梗塞,脳卒中などを高率に発症するようになったのである.何故だろうか?
背景には,近年の生活習慣変化と急速に進む高齢化が存在している.慢性糸球体腎炎を代表とする腎固有の疾患は従来どおり存在するが,それ以上に生活習慣病や加齢と関連した腎障害が増加しているのである.日本を含む先進諸国においては,腎臓病・腎障害の成因そのものが大きく変化しているのである.
CVDを回避するべく,腎障害を早期に発見するために慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)という概念が提唱された1).高血圧,糖尿病,メタボリックシンドロームなどの生活習慣病患者,高齢者のなかに数多くのCKD該当者が存在している.高リスク者を早期に発見しCVD発症を抑制するためには,簡潔な疾患概念が必要であったのである.
腎機能障害と心機能・心不全発症との間には病因的に双方向性の関係が存在する.この病態を特に心腎連関(cardiorenal syndrome)と定義づけ,さらに5つの病型に分類されている.
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