Japanese
English
特集 生活習慣と心腎連関
メタボリック症候群と心腎連関
Metabolic Syndrome and Cardio-Renal Interaction
柏原 直樹
1
,
佐藤 稔
1
,
岡 朋大
1
,
佐々木 環
1
Naoki Kashihara
1
,
Minoru Satoh
1
,
Tomohiro Oka
1
,
Tamaki Sasaki
1
1川崎医科大学腎臓・高血圧内科
1Department of Nephrology and Hypertension, Kawasaki Medical School
pp.707-714
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102001
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はじめに
脂質代謝異常,高血圧,高血糖・糖尿病は動脈硬化・心血管病(cardiovascular disease;CVD)の確立された危険因子である.肥満者では各々が軽度であっても,これらが重積することで,リスクが飛躍的に増大することから,メタボリックシンドロームの概念が生まれた.腹部肥満・内臓脂肪蓄積,インスリン抵抗性などが中核的基盤病態を形成している.CVDの発症を予防するためには,個々の危険因子の単独介入では不十分である.基盤病態を洞察し,より上流から予防的・先制的に介入を行うことの重要性の覚知をあらためて促すものである.
一方,軽微であっても腎障害の存在が,その成因の如何にかかわらず,CVDと連関することが広く認知され,慢性腎臓病(CKD)の概念が生まれた.CKDを定義づける要件のなかで,CVD危険因子として確立されているのは,①アルブミン尿・タンパク尿の存在と,②GFR 60ml/min未満の濾過率の低下である.とりわけアルブミン尿に関しては,微量アルブミン尿以下の「超微量」域から尿中アルブミン排泄量に相関してCVDリスクが亢進する.
メタボリックシンドロームはアルブミン尿・タンパク尿および,腎機能障害のリスク因子となることが示されている.CKDはメタボリックシンドロームに起因する臓器障害の一環と捉えることが可能である.メタボリックシンドロームでは,CVD,CKDを予防するために,早期から生活習慣の適正化,必要であれば薬物療法を行う必要がある.
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