Japanese
English
特集 呼吸器疾患とエイジング
エイジングと間質性肺炎
Aging and Interstitial Lung Diseases
桑野 和善
1
,
荒屋 潤
1
,
原 弘道
1
Kazuyoshi Kuwano
1
,
Jun Araya
1
,
Hiromichi Hara
1
1東京慈恵会医科大学内科学講座呼吸器内科
1Division of Respiratory Diseases, Department of Internal Medicine, Jikei University School of Medicine
pp.577-585
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101717
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はじめに
エイジング“加齢”に伴って,細胞や組織における形態および機能上の様々な有害事象が蓄積し,病気や死亡のリスクが高まる.進行性に細胞生理学的機能が低下し,様々な外因性,内因性のストレスへの対応力が低下する.加齢に伴う形態・機能上の変化は,病的にも生理的にも生じる.例えば,肺の形態を支える細胞外基質は,その構成や機能に変化を来し,加齢に伴う静肺コンプライアンスの増大,肺弾性収縮力の低下,肺胞の拡張,動脈血液ガス酸素分圧の低下,運動耐容能の低下が生じる.免疫学的にも変化を来しており,加齢マウスにおいては,肺胞マクロファージからの炎症性サイトカイン産生は増加し,オゾンなどの吸入曝露に対する炎症反応が増強している.ヒトの気管支肺胞洗浄液中の好中球も加齢により増加しており,肺の慢性炎症の存在を示唆する.ワクチンの効果が低下し,易感染性となる.CD4+Tリンパ球は加齢に伴いTh1よりTh2へシフトする.Th2サイトカインは線維化を促進する因子であり,肺線維化を来す間質性肺炎では,Th2優位であることはよく知られている.長期にわたる大気汚染,喫煙,感染,酸化ストレスをはじめとする攻撃因子の蓄積と防御因子の減弱,修復力低下によって,肺線維化を来しやすくなる.間質性肺炎は多くの疾患があり病態も様々であるが,高齢者に多いことは特徴の一つである.
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