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特集 特発性間質性肺炎の治療
特発性間質性肺炎の発生機序
Pathogenesis of Idiopathic Interstitial Pneumonia
桑野 和善
1
,
萩本 直樹
1
,
原 信之
1
Kazuyoshi Kuwano
1
,
Naoki Hagimoto
1
,
Nobuyuki Hara
1
1九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
1Research Institute for Diseases of the Chest Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
pp.881-886
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902528
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はじめに
特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneu—monia:IIP)は,肺胞領域における炎症細胞,免疫担当細胞の集積を主徴とする胞隔炎にはじまり,組織修復に伴う線維化とリモデリングを主徴とする.約3%の家族性間質性肺炎家系の存在,IL−1 RA,TNF—αのpolymorphism, HLA typ—ingなど遺伝性素因の関与が示唆されているが,未だ明らかではない.ウイルス感染の関与,喫煙や粉塵吸入など環境因子の関与が疑われているが原因究明には至っていない.しかし,本疾患の病態は,かつて“慢性の炎症”と捉えられていたが,最近は肺の中心的機能を果たす“肺上皮細胞傷害”の繰り返しがその本態であると考えられている1).炎症細胞やサイトカインネットワークによる炎症のなかで,フリーラジカルや蛋白分解酵素による肺胞壁の損傷が生じる.損傷の程度が軽度であれば正常に修復されるが,高度の傷害は肺胞上皮細胞や血管内皮細胞は死に至り,基底膜も傷害されリモデリングにより線維化に至る.
本稿では,IIPにおける炎症細胞,サイトカインによる炎症の制御,肺上皮細胞の損傷,組織修復とリモデリングの面から発生機序を概説し,新たな治療戦略の可能性についても言及する(図1).
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