Japanese
English
特集 呼吸器疾患とエイジング
エイジングと気管支喘息
Aging and Asthma
福田 健
1
Takeshi Fukuda
1
1獨協医科大学呼吸器・アレルギー内科
1Department of Pulmonary Medicine and Clinical Immunology, Dokkyo Medical University
pp.587-595
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101718
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はじめに
戦後のベビーブームに生まれた世代が間もなく65歳に達し,これからの日本はかつて経験したことのない高齢化社会を迎えようとしている.当然ながら全喘息患者に占める高齢者喘息の割合も増加することから,高齢者の喘息に対する深い理解が要求される.高齢者喘息には,小児期あるいは若年期に発症し,そのまま高齢期まで持ちこんだ経過の長い喘息(long-standing asthma;LSA)と,高齢者になってから発症した遅発発症の喘息(late-onset asthma;LOA)の2つのタイプがある.“エイジングと気管支喘息”という観点で考えた場合,LSAの病態形成には長期間喘息に罹患していることの影響と加齢に伴う生理的な変化の影響が重なり合って関与する.一方,LOAは小児期や若年期に発症する喘息とは異なった生体内環境で発症してくる.したがって,加齢に伴う生体内環境の変化について知る必要がある.
本稿では,喘息の病態形成に重要な関わりを持つ免疫システムと肺の機械的特性の加齢による変化を概説し,それと関連付けて加齢が喘息病態に及ぼす影響について説明する.引用するデータは出来る限りヒトで得られたものに限定した.また,高齢者喘息の臨床的特徴,診断,治療法については多くの優れた総説があるので,ここでは割愛した.
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