Japanese
English
特集 冠血行再建術のエビデンスをどうみるか―PCIとCABG
序文
Foreword:Verification of Evidence for Coronary Revascularization:PCI vs. CABG
坂田 隆造
1
Ryuzo Sakata
1
1京都大学医学部心臓血管外科
1Department of Cardiovascular Surgery, Kyoto University
pp.441
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101692
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- Abstract 文献概要
冠動脈バイパス術(CABG)と冠動脈インターベンション(PCI)はともに冠血行再建を目指す異なるアプローチである.CABGは冠動脈狭窄・閉塞病変には触れずにその遠位側へ新たなバイパスを作製して冠血行を再建し,PCIは病変そのものを再開通させることで冠血行再建の目的を達する.歴史的にはCABGは1967年にFavaloroらによって打ち立てられ,心虚血に対する鮮烈な治療効果の故に燎原の火の如く世に広まった.
CABGの登場は虚血性心疾患治療に革命をもたらした.Yusufらのメタ解析(1994. Lancet)が示す如く,CABGは当時の薬物治療と比べて圧倒的優位の治療効果をもたらし,その効果は冠動脈疾患が重症化するほど顕著であった.故にCABGは爾来,過去のCABGとの比較でもって治療成績の向上を検証するという発展の歴史を辿った.それはもちろん手術成績そのものの向上意欲でもあったが,一方で侵襲的治療であるが故に常に,どれだけ治療効果を持続させられるか,との問いでもあり,必然的にエビデンスの検証には生命予後,心筋梗塞予防効果などの真の評価項目が採用された.この範疇のCABG関連エビデンスは最低でも3~5年,多くは7~10年,長期としては15~20年にわたる術後遠隔期までの成績を評価したものが多い.
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