増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック
序文
大楠 清文
1
1東京医科大学微生物学分野
pp.170-171
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208272
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培地を観察している3人の微生物検査技師に出会ったとします.そして,それぞれに「いま,何をしていますか?」と質問してみると,次のような返答がありました.1人目のA技師は「見てのとおり,菌を釣っているのだ」,2人目のB技師は「見てのとおり,菌を同定・感受性機器にかけようとしているのだ」,3人目のC技師は「見てのとおり,グラム染色像と患者背景とを加味して起炎菌を捉えようとしているのだ」.どの技師も,やっている行為は“培地を観察する”ことで共通しています.しかし,それぞれの返答は違います.それは見ているところが違うからです.
よりよい技師になるためには,「自分がやっている目の前の取り組みが何につながっているのか」を見いだすことが重要です.コロニーを拾うだけの技師になるのか? なんでもすぐ機器にかける技師になるのか? 起炎菌を捉えられる技師になるのか? 私は,ただ業務として仕事をするのではなく,志を持って“志事”をすることこそが大切だと思うのです.そして,この志を導く上司(師匠)の存在もまた欠かすことができません.
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