巻頭言
概日リズムを考慮した生活習慣病の診療
前村 浩二
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科循環病態制御内科
pp.223
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101656
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血圧,脈拍,体温などの生理現象や成長ホルモン,コルチゾール,メラトニンなどのホルモンの血中濃度は概日リズムを呈する.これに関連して,心筋梗塞,脳梗塞,気管支喘息など様々な疾患には,一日の中で好発時間帯があることも良く知られている.したがって,様々な疾患の発症機序を解明し,治療していくうえで概日リズムを考慮に入れることは重要である.
体内には概日リズムを制御している時計があると考えられ,体内時計と呼ばれている.体内時計は1950年代頃から盛んに研究され,その中枢が視床下部の視交叉上核に存在することが明らかになっていた.その後,1984年にショウジョウバエで,1997年には哺乳類で時計遺伝子がクローニングされ,体内時計は転写因子相互のフィードバックから形成されていることが明らかになっている.体内時計は,中枢の視交叉上核のみでなく心臓や血管などの末梢の臓器にも存在し,全身で発現している遺伝子の5~10%に発現の概日リズムが認められる.
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