巻頭言
臨床医による医学研究の重要性
棟方 充
1
1福島県立医科大学医学部呼吸器内科学講座
pp.861
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101544
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臨床研修制度が変わり,地方の大学病院は苦戦を強いられています.たぶん「学位や研究」より「実地臨床や専門医」といった風潮が,「大学」よりも「一般病院」への流れを作っているのでしょう.私は卒後2年ほどの研修期間を除き,ほぼ30年大学付属病院で診療・教育・研究を行ってきました.そして今,呼吸器専門医として日々患者さんを診療しながら行う医学研究の重要性を強く感じています.
1980年代の喘息外来は厳しい外来でした.朝8時半には発作の患者さんが数人は外来で待っています.直ちにβ刺激薬吸入を指示し,ネオフィリンの点滴開始です.この間を縫って比較的落ち着いている患者さんを診察ブースで診ます.時々ベッドの様子を見廻りながら診察を続け,午後3時頃にやっと診察が終わり昼食です.しかし,これで終わりではありません.夕方から今度は重症発作の患者さんが救急車で運ばれてきます.なかには午前中に点滴して帰した患者さんもいます.当直の先生に応援もお願いしながら対応します.かつて喘息外来は「担当したくない外来」No.1でした.また,患者さんは文句が多く,陰気で,性格が悪い人が多く,喘息器質などと言われていました.
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