Japanese
English
特集 呼吸器診療のリスク管理
人工呼吸に伴うリスク管理
Risk Management in Association with Mechanical Ventilation
外 須美夫
1
Sumio Hoka
1
1九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学
1Department of Anesthesiology and Critical Care Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
pp.785-790
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101524
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はじめに
人工呼吸とは人工的に呼吸補助を行うことである.呼吸器疾患のために呼吸機能が低下して酸素の摂取や二酸化炭素の排出が十分にできない場合や自発呼吸では呼吸努力が大きく呼吸筋が疲弊してしまう場合などに人工呼吸が用いられる.人工呼吸の方法には蘇生時の口対口法や患者の搬送時に用いられる用手的換気法などもあるが,一般には人工呼吸器を用いた機械的人工呼吸法が行われている.
人工呼吸器は生命維持装置であるために機器の不具合や誤操作や使用ミスが直接的に生命の危機につながる.だから,人工呼吸器を使用する際は必ず始業点検を行うとともに,動作原理や換気モード,アラーム設定などをよく理解して,緊急のトラブル発生に適切に対応できるようにしておかなければならない.また,人工呼吸器を装着することで肺損傷や肺炎を来すリスクが高まることにも注意が必要である.
人工呼吸に伴うリスク管理では,人工呼吸器や関連機器などモノに関するものから,医師,看護師,臨床工学技士など医療者に関するもの,感染対策や教育,研修,安全管理者の育成といった組織に関するものまで,幅広いリスク管理が求められる.
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