連載 管理者に求められる医療安全スキル・2
人工呼吸器のリスクマネジメント
青木 孝子
1
,
恩田 清美
1
1東京海上日動メディカルサービス株式会社メディカルリスクマネジメント室
pp.480-485
発行日 2006年6月10日
Published Date 2006/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100092
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はじめに
厚生労働省,日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業が,2001(平成13)年10月から開始された。2005(平成17)年12月31日までに,日本医療機能評価機構に報告された人工呼吸器に関する事故報告は14件になる。
発生分類別に見ると,回路9件(64.2%),加湿器2件(14.2%),設定・操作部3件(21.4%)で,回路に関する事例が最も多く,そのうち何例かは,アラームに関する事例であった。
人工呼吸器は,生命維持に必須の,呼吸にかかわる医療機器である。このため事故が発生すると,死亡や重篤な障害を残すことが多い。さらに人工呼吸器は高価であり,施設内でも順次補充するため,機種の異なる機器を同時に何種類か使用することが多い。ある調査によると,1病院あたり平均5機種の呼吸器を使用している。機種の統一をすすめるとともに専門の知識・技術をもった臨床工学技士が管理を行なうことが望ましい。しかし,2003(平成15)年5月の厚生労働省の調査では,常勤で臨床工学技士を配置する施設は,地域医療支援病院(200床以上)41%,がん拠点病院48%,特定機能病院64%と限られている。そのため呼吸器の管理を看護職が担っている施設もある。そこで今回は,人工呼吸器使用時の,管理上の医療安全スキルについて述べる。
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