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人工呼吸管理をめぐる最近1年間の話題
人工呼吸管理のトピックスについては,昨年(2000年)の本誌Current Opinionに近藤と谷口1)が肺保護戦略を中心に話題提供している.そのなかで彼らは,人工呼吸管理で惹起される肺障害を圧損傷,容積損傷,無気肺損傷,生物学的損傷(biotrauma)に分けて説明し,特に肺の過伸展や虚脱・再開放が肺のサイトカインを誘導して体循環へ移行させ肺障害を悪化させるというbio—traumaの仕組み2)を述べている.さらに,肺保護戦略の立場から最近の人工呼吸管理の趨勢として,PEEPレベルを肺胞が開存した状態(>lowerinnection point)まで上昇させ,肺胞の虚脱・再開放に伴うsheer stressやbiotraumaによる肺損傷を防止する換気法としてOpen lung approach(OLA)を概説している.また,OLA法で1回換気量を少なくすることで生じるPermissivehypercapnlaに関してもNIH-ARDSの電子情報を紹介している.最近,そのネットワーク情報の結果が論文としてN Engl J Medに掲載された3).これについては,近藤らの解説と重複する点もあるが,次項に過去の報告との比較を含めて紹介する.
人工呼吸管理に関する最近の話題として,このようにNIH-ARDSの大規模な臨床トライアル結果からPermissive hypercapniaの実効的評価がほぼ定まったことが挙げられる.また,依然としてhypercapnlaの問題点4)やpH緩衝液の効果5),回避法6)の報告がみられる一方,逆にhypercapniaそのものに利点があるという報告7)もなされている.驚くべきことに,hypercapniaは単にperlnissiveというだけでなく,むしろtherapeuticなものに変容をとげる可能性もある.許容といった受動的意味から治療的高二酸化炭素血症(therapeutic hypercapnia)といった積極的意味を付与する報告8)もみられるようになった.
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