外科学温故知新 3
麻酔の始まりと麻酔科学の進歩
外 須美夫
1
Sumio Hoka
1
1北里大学医学部麻酔科
pp.1415-1421
発行日 2005年11月20日
Published Date 2005/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100250
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1 麻酔の始まり
近代麻酔の歴史は19世紀に始まる1).
・1803年に阿片からモルヒネが抽出される.
・1832年にコデインが精製される.
・1844年に笑気ガス吸入が抜歯の治療に用いられる.
・1846年にエーテルによる全身麻酔の公開実験が成功する.
・1847年にクロロホルム麻酔が成功する.
・1884年にコカインが伝達麻酔に用いられる.
・1898年に脊髄くも膜下麻酔が行われる.
このように,19世紀は鎮痛薬や麻酔法の開発の歴史として画期的な世紀であった.そのなかでも,1846年に全身麻酔を初めて成功させたモルトン(Morton WTG,アメリカ)の業績は光っている.
モルトンは27歳のとき(1846年),エーテル麻酔の公開をマサチューセッツ総合病院で行い,成功を収めた(図1).以来,エーテル麻酔が世界中に普及し,それ以後の全身麻酔の礎をつくった.彼の墓碑には次のような言葉が刻まれている1).
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