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はじめに
最近の呼吸器インターベンションの進歩は目覚ましく,気管支鏡を用いての診断および治療が進歩している1).
気管支鏡は,内腔観察,直視下の気道粘膜生検,末梢組織の擦過細胞診,肺組織生検(TBLB),気管支肺胞洗浄(BAL)が通常の検査として行われる.新しい気管支鏡手技として,気道の中心型病変には蛍光気管支鏡(AFI),狭帯域光気管支鏡(NBI)などの特殊光気管支鏡による内腔観察2,3)や,気管支腔内超音波断層法(EBUS)3)による縦隔肺門リンパ節針生検(EBUS-TBNA)が行われるようになった4).また,CTの普及による肺野末梢小型病変の検出が増加し,それらに対してはナビゲーション5)やEBUSガイドシース法(EBUS-GS)6)を用いてTBLBがより確実に,安全に行えるようになった.肺野の末梢小型病変に関しては,CTガイド下の経皮肺生検を行うこともあるが,当院ではナビゲーションやEBUSを駆使して経気道的なアプローチによる診断率の向上を目指している.
気管支鏡治療としては,気管支鏡を用いた光線力学治療(PDT)3)や,硬性気管支鏡を用いたステント留置7),レーザー治療,アルゴンプラズマ凝固(APC)などで癌の治療が行われるようになった8).さらに,慢性閉塞性肺疾患,特に肺気腫に対して,気管支鏡を用いた肺容量減量術(bronchoscopic lung volume reduction;BLVR)の臨床研究が進められており,今後は日本でも行われる予定である1).また,気管支喘息の気道リモデリングに対しては,気管支平滑筋に対してablationを行う臨床研究(bronchoscopic thermoplasty;BT)がなされている9).
このように気管支鏡をめぐる診断と治療は著しく進歩しており,気管支鏡なくしては呼吸器疾患マネージメントが困難である.呼吸器内視鏡学会が「全国気管支鏡アンケート調査2007」を施行した10).それによると,気管支鏡は頻度は低いが合併症が発生すると重大な障害に発展する危険性の高い検査である.今回はその結果を踏まえて,気管支鏡の施行における当院での取り組みを述べる.
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