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特集 特発性心室細動―病態から治療まで
特発性心室細動に対するICD治療
ICD Therapy for Idiopathic Ventricular Fibrillation
栗田 隆志
1
Takashi Kurita
1
1近畿大学医学部循環器内科
1Department of Cardiology, Kinki University School of Medicine
pp.51-58
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101405
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はじめに
心疾患患者における心臓突然死は心不全死と並ぶ最大の死因であり,生命予後の改善を図るうえでその発生を未然に防ぐことは極めて重要である.いくつかの大規模試験によると,植込み型除細動器(ICD)は基礎心疾患の種類や,1次予防または2次予防としての使用目的を問わず,心疾患患者に対して予後の改善をもたらす最も有効な治療法の一つとされている.なかでも特発性心室細動(VF)患者は,ほぼ正常な心機能に最も重症な不整脈(VF)が発生するという他の疾患とは際立った特徴を有する.つまり,本疾患患者は不整脈死以外のリスクをほとんど有しておらず,ICDにより突然死をほぼ完全に制圧できれば極めて良好な予後が期待される.しかし,その一方で無症候性Brugada症候群などに対する高価なICDの乱用は医療経済を圧迫する新たな要因となりうる.これらの治療法を効果的に活用するためには,エビデンスに対する正しい解釈に依拠したリスク評価と,社会的要因まで包括した節度ある判断が求められる.
本稿では特発性心室細動をBrugada症候群と非Brugada症候群とに分けて,各々に対するICD治療の意義について考察する.
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