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特集 特発性心室細動―病態から治療まで
特発性心室細動に対するカテーテルアブレーション治療
Catheter Ablation of Idiopathic Ventricular Fibrillation
野上 昭彦
1
Akihiko Nogami
1
1横浜労災病院循環器内科
1Cardiology Division, Yokohama Rosai Hospital
pp.37-49
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101404
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はじめに
心室細動(VF)は心臓突然死の主要な原因であるが,植込み型除細動器(ICD)の出現によってその予後は著明に改善した.しかし,ICDはあくまでVFが生じた後の治療であり,VFの予防にはなりえない.また,VFに対するICD作動時には失神が伴うか,あるいは意識消失以前のICD作動であれば直流通電に伴う苦痛が生じるため,患者のQOLは低下する.さらに,反復性VF(VF storm)に陥った際には,血行動態が維持できなくなったり,ICD作動回数にも制限が生じたりするため,ICD治療にも限界がある.このようなことから,ICD治療に加え,VFの発生自体を抑制する予防治療が必要とされている.
VFの発生を抑制するには,薬物治療であれ非薬物治療であれ,VFの機序や不整脈基盤の解明が重要である.実験ではVFの発生に渦巻き型の旋回興奮(スパイラル・リエントリー)が重要な役割を果たすことが示され1),薬物によるVF抑制ではこの心室スパイラル・リエントリーの制御が主な目標とされているが,未だ解明されていない部分も多い.一方,カテーテルアブレーションの分野では,不整脈基盤よりもVFのトリガーとなる心室期外収縮(VPC)抑制によるVF治療が注目されてきている.
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