Topics Respiration & Circulation
特発性心室細動の治療と予後
中沢 潔
1
1聖マリアンナ医科大学第2内科
pp.323-324
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901224
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■最近の動向 心室細動(Vf)は心筋梗塞や心筋症患者の突然死の原因として注目されているが,原因の不明なVfが存在し,特発性(Idiopathic)Vfと呼ばれている.このVfは器質的心疾患がなく,電解質異常,QT延長症候群,冠動脈攣縮を否定したVfと定義される.この呼び名はViskinとBelhassenの報告で好んで用いられたが,彼らによれば特発性Vfは1948年のParoxysmal ventri—cular fibrillation(発作性心室細動)としての報告以来,1989年までに45例が器質的心疾患のないVf,あるいは健常者のVfとして報告されている.この疾患の頻度は10%前後(40歳以下ではさらに高い頻度)と考えられているが,不明な部分が多く,機序,予後についても,その実態はほとんど明確にされていない.
1992年,Brugadaらが安静時心電図波形に特徴を有する特発性Vfの8例を報告し,以来,特発性Vfに関する報告が増えている.著者らも,数例を経験し,自律神経的関与の大きいVfと考え報告しているが,一般的には,実証できない器質があり,機能的要因が大きいVfと考えられている.しかし,研究対象が少なく,電気生理学的検査手法をもっても,誘発率の問題や重症不整脈であるがゆえの扱い難さがあり,現在の他の検査技術をもってもなお実態のみえない疾患である.
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