巻頭言
Copy and Paste
宝来 威
1
1癌研究会有明病院呼吸器センター呼吸器内科
pp.5
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101406
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20世紀の科学の進歩の中で,私たちの日常生活に最も身近でその恩恵に浴しているものはパソコンであろう.メールでは相手が何処に居ようとも迅速に通信ができる.インターネットや多くの有用なソフトが活用でき,何より便利なのは文書の作成である.原稿用紙に何度も書き直しての清書の苦労も解消された.文献検索も簡単にでき,引用文献を貼り付けることもできる.学会の発表や講義のスライドの作成も容易で,修正も直前まで可能だ.
診療現場にもパソコンが導入されてきた.当初のオーダリングシステムでは発生源入力が要求され,医師がコンピュータに向かってばかりいるとの苦情がでた.入力にクラークをつけろとの不満もあった.しかし,画像ファイリングシステム,電子カルテへとパソコンの役割は拡がった.電子カルテは画像や検査データの検索が簡単で,悪筆で判読しにくい診療記録もなくなり,慣れてしまうと大変便利である.特にcopy and pasteはありがたい.検査値,画像所見などを貼り付けるとサマリーもすぐできる.しかし,不都合も生じる.変換ミスの誤文字だけならご愛嬌だが,うっかりミスの右,左の誤記が重大な結果を招くこともある.誤った記載は何故か訂正されずにcopy and pasteでいつまでも続いてしまう.
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