Japanese
English
綜説
経皮的大動脈弁置換術の最新の情勢と展望
Transcatheter Heart Valve Replacement will become a Standard Therapy for Aortic Valve Disease
古田 晃
1
Akira Furuta
1
1Service de Cardiologie, Hôpital Charles-Nicolle, CHU de Rouen
1Service de Cardiologie, Hôpital Charles-Nicolle, CHU de Rouen
pp.1161-1167
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101371
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
症候性の大動脈弁狭窄症(aortic stenosis;AS)は,中年から高齢者までの年齢層にその発症の大多数を認める.発症後の症状進行は極めて早く,薬物的治療のみではその1年生存率は60%, 5年生存率は32%と極めて悪いことが知られる1).これに対し,従来の外科的大動脈弁置換術(aortic valve replacement;AVR)は現在もその治療法のゴールデンスタンダードであり,症状,生存率の確実な改善を促す唯一の選択肢であると同時に,安全性においても,ハイリスク手術を除けば術中死亡率は約4%とされる2).しかしながら,高齢化社会の到来に伴い,低心機能や他の併存疾患を有する患者層は確実に増大傾向にあり,その結果,AVRハイリスク症例層の増大は必然的に難問を提起する.実際,外科的治療を受けることの出来ないでいるケースは,欧米では全重症AS患者の3分の1もしくは半数以上にも達する3,4).このような外科的治療非適応症例に対し,現在,欧米ではそれに代わる革新的治療法として,より低侵襲な経カテーテル生体弁置換術(transcatheter heart valve replacement;THV*)が開発され(*THV:本誌2009年5月号綜説欄に紹介したpercutaneous aortic valve replacement;PAVRと全くの同義である.現在欧米では本技術名称がTHVの名称で定着しつつあるため,本稿でもTHVと表記する),急速に普及しつつある.本稿では,この経皮的弁治療における最新の情勢を,その歴史と展望に触れながら紹介する.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.