巻頭言
肺がん死亡減少に気管支鏡の果たす役割は
金子 昌弘
1
1国立がんセンター中央病院内視鏡部
pp.1097
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101368
- 有料閲覧
- 文献概要
いずれの疾患でも,その死亡者数を減らすには,発生を減らし,早期に発見し,確実な治療法を開発することが大切である.戦後猛威をふるった結核に対しても,BCGによる予防,ツ反や間接X線撮影による早期発見,抗結核薬の開発の三つの歯車がかみ合うことで,死亡数を激減させることができた.また,脳血管障害も食事指導や薬による血圧の管理などで死亡は減少した.一方がん死亡は全体としては減少傾向にあり,胃がんや子宮がんではその対策が効果を上げつつあるが,肺がんは男女とも増加傾向が続いており,その対策が急務である.
気管支鏡は,当初は気道異物などの治療の機器として開発されたが,現在では主に肺がんを中心とした呼吸器疾患の診断機器として使われている.消化管では早期がんに対しては内視鏡的治療が中心になりつつあり,それが検診受診者の増加にもつながっている.肺がんに関しても気管支鏡が予防から治療まで,積極的に関わることが,その死亡数減少には重要なのではないかと考える.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.