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綜説
2型糖尿病患者における低用量アスピリン療法―JPAD試験の結果を踏まえて
Low Dose Aspirin Therapy for Patients with Type 2 Diabetes Mellitus
中山 雅文
1
Masafumi Nakayama
1
1熊本大学大学院循環器病態学
1Department of Cardiovascular Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Kumamoto University
pp.921-927
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101329
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はじめに
糖尿病患者において,冠動脈疾患や脳血管障害をはじめとした動脈硬化性疾患の合併率は高く,重篤であることが多い.心血管系疾患が糖尿病患者の死因となる割合は非糖尿病患者の死因の3倍以上とされており1),心筋梗塞の既往のない糖尿病患者でも,非糖尿病患者の心筋梗塞症例と同等の心血管系イベントの危険率があることが示されている2).2型糖尿病患者の血小板の活性,血小板凝集能は非糖尿病患者に比べ明らかに亢進しており3),心血管イベントの危険率の増加の一因と考えられている.
近年,日本人の糖尿病罹患率は急速に伸びてきており,糖尿病患者における心血管イベントの予防は現在の日本の最重要課題の一つと考えられる.しかし,血糖のコントロールのみでは,糖尿病患者の動脈硬化性疾患の予防に十分でないことが報告されており4,5),その予防に低用量アスピリンが推奨されつつある.しかし,そのエビデンスは未だ十分とはいえない.
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