Japanese
English
綜説
慢性腎臓病(CKD)と心疾患
Chronic Kidney Disease and Cardiovascular Disease
鈴木 越
1
,
木村 健二郎
2
Etsu Suzuki
1
,
Kenjiro Kimura
2
1聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター
2聖マリアンナ医科大学腎臓高血圧内科
1Institute of Medical Science, St.Marianna University School of Medicine
2Department of Nephrology and Hypertension, Internal Medicine, St. Marianna University School of Medicine
pp.613-619
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101281
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はじめに
腎臓病学領域には,もともと慢性腎不全と呼ばれる病態があり,これは慢性的に経過する腎機能障害と,それに基づく臨床症状がある場合に使われる言葉である.一方,近年導入された慢性腎臓病(CKD)とは慢性腎不全に比べると軽度の腎障害を含む言葉である.CKDの概念が導入された背景としては,1)軽度の腎障害が心血管病(CVD)の発症および死亡の危険因子であることが疫学的に明らかになってきたこと,2)CKDの患者が末期腎不全に進行し腎代替療法に至るよりもCVDに罹患し死亡する可能性のほうが高いことが明らかになってきたことを挙げることができる.つまり,古典的なCVDの危険因子に加えて軽度の腎障害が新たなCVDの危険因子として認識されてきたのである.さらに,CKD患者が日本でも20歳以上の約10%を占め,約1,098万人いると推定されることから,CKDは決して稀な疾患ではなく,むしろありふれた病気であることが明らかになってきた事も注目に値する.
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