Japanese
English
Bedside Teaching
禁煙治療の実際
Smoking Cessation Treatment
桂 秀樹
1
Hideki Katsura
1
1東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器内科
1Division of Respiratory Medicine, Tokyo Women's Medical University Yachiyo Medical Center
pp.621-628
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101282
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はじめに
喫煙は肺癌や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患のみならず,肺癌以外の悪性新生物,心疾患,脳血管疾患などさまざまな疾患の発症に密接に関連している.また,最近の知見では受動喫煙もCOPDや肺癌の発症に関連があることが指摘され,喫煙は重大な健康被害をもたらしていることには疑いはない1).この点からは,医療者は患者の喫煙習慣があるかどうかを確認し,たとえ程度が軽くても喫煙者であった場合はそのまま放置せず,禁煙をすすめ,必要な指導を行う必要がある.
たばこ煙に含まれるニコチンは,喫煙者に強い身体的な依存を引き起こすため喫煙行動を中止させることは容易ではない.これまで,ニコチン依存を有する喫煙者に対しては保険適用外でニコチン代替療法が実施されてきたが,2006年から「禁煙治療のための標準手順書」に基づいて実施された場合,ニコチン代替療法などの薬物療法に対して保険給付(ニコチン指導管理料)がなされるようになった2).しかしながら,ニコチン代替療法をはじめとした薬物療法はあくまで離脱症状を軽減する補助的手段であり,禁煙を成功させるためには患者評価に基づいたきめ細かい患者指導が重要である.本稿では,禁煙治療の実際について概説する.
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