巻頭言
心臓研究と内分泌研究の融合―四半世紀の歴史から
吉村 道博
1
1東京慈恵会医科大学循環器内科
pp.133
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101204
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心臓はポンプ臓器であるが,1984年の松尾壽之博士・寒川賢治博士のANPの発見で心臓はホルモン臓器としての役割を担っていることが示された.心機能が低下した時にナトリウム利尿ペプチドが多種多様な作用で生命維持に貢献していることは驚きである.この様に内分泌研究が心臓研究に深く関与していることは,かつては誰も予想していなかったであろう.ナトリウム利尿ペプチドの発見はあまりにも偉大であったが,一方ではそれを臨床応用に即座に導いた数多くの臨床医の功績も大きい.特に中尾一和博士や泰江弘文博士が強力に牽引されてきた.
ナトリウム利尿ペプチドとともに,近年,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン研究の進展も著しい.さらに,最近ではアドレノメジュリンやグレリンの発見も続いており,それらが如何に循環器疾患に関わっているのかも盛んに検討されているところである.これらを出来る限り統合してさらに従来の心臓研究手法と併せて各循環器疾患の病態を考察していく必要がある.
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