書評
—John B. West, Andrew M. Luks/原著 桑平一郎/訳—『ウエスト 呼吸生理学入門:正常肺編』 第2版—(原題:West's Respiratory Physiology:The Essentials, 10th Edition)
西村 正治
1,2
1(元)日本呼吸器学会
2北海道大学大学院医学研究院・医学院 呼吸器内科学講座
pp.497
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200066
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かの有名なJohn B. West先生による呼吸生理学の名著“West's Respiratory Physiology:The Essentials” 10th Editionが東海大学医学部 桑平一郎教授によって翻訳され,『ウエスト 呼吸生理学入門:正常肺編』第2版として出版された.本書は1974年に初版が出版されて以来,世界中で読まれてきた呼吸生理学のバイブルである.この度,原著第10版にはWest先生の弟子であるAndrew M. Luks先生が共著者として加わっている.
この本が呼吸生理学のバイブルと呼ばれる所以は,それほどに世界中で呼吸器病学に関わる多くの人に読まれてきたこと,そして,初版が発行されて40年以上経ってもその内容が古くなるということとは無縁だからである.それどころか,分子生物学的研究が全盛の現代にあっては,呼吸器病学を学ぶ基本としてその重要性はさらに増してきていると言える.「木を見て森を見ず」というような落とし穴に入り込まないためにも肺の構造と機能を正しく学ぶことは呼吸病学の臨床・研究をするうえでの第一歩であり,この本ほど呼吸生理学の教材として優れたものはない.内容が洗練され,見事にコンパクトにまとめられているのである.呼吸生理学を学ぶ第一歩の教材としても,あるいは,呼吸器病学を理解する過程での知識の再整理のためにも役立つ.
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