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特集 肺疾患動物実験モデルの意義と展開
COPDの動物モデル
Animal Models of COPD
平井 豊博
1
Toyohiro Hirai
1
1京都大学大学院医学研究科呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Kyoto University Graduate School of Medicine
pp.879-885
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101102
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はじめに
COPDは,遺伝的要因など患者側因子を背景に,主としてタバコ煙などの有害物質の吸入により気道の炎症と肺実質の破壊を様々な程度に来し,結果として気流制限を来す疾患であるが1),今なお病因は不明な点が多く,また根治的な治療法も確立していない.このような現状で本疾患の研究において動物モデルが果たしてきた役割は大きく,これまでにも様々なモデルが報告され,現在も広く用いられている.実験動物の小動物化に伴い,COPDのモデルにおいてもイヌやブタなどからラット,マウスといった動物種が現在では主に用いられているが,いずれのモデルにおいてもヒトと全く同一となりうる動物モデルは存在せず,それぞれがCOPDの病態の一面を表現したモデルと言える.また,ヒトと小動物とには,後に述べるような肺の構造や免疫応答などの種差が存在し,実験動物での実験結果が直ちにヒトに適応できるとは限らない.
このような制限があるものの,実験動物を用いることは,対照群の適切な設定など,実験条件を正確に制御できたり,経時変化を詳細に観察可能であったり,さらに病態の解明だけでなく,特に新薬の開発には薬剤の効果,副作用を試験するうえで必須のものであり,利点も多い.本稿では,COPDの動物モデルの代表例をいくつか取り上げ,その特徴を述べる.紙面の都合もありすべてを網羅できないが,COPDの動物モデルについてまとめた論文2~4)も報告されているので,個々の研究論文も併せ参照されたい.
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