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はじめに
がん治療において分子標的薬は著しい進展をみせており,次々と新しい臨床試験の結果が報告されるようになった.肺がんにおいては,本邦において2002年7月の上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitor;EGFR-TKI)であるゲフィチニブ(イレッサ®)の臨床応用実現から約5年が経過し,EGFRを標的とした治療薬には一定の評価が整いつつある.2004年前半に,肺がん細胞におけるEGFR遺伝子異常の存在とゲフィチニブ感受性に相関があることが報告された1,2).実際この遺伝子変異を有している症例として,東洋人,女性,腺がん,非喫煙者であれば頻度が高い3)とされ,臨床上での奏効率と相関していた.現在は,遺伝子異常を有する症例を対象に,初回治療における標準化学療法とゲフィチニブとの大規模比較試験を行い,生存期間延長への影響があるか否かを問う臨床試験が行われている.
このような背景から,EGFR遺伝子異常を検出することはゲフィチニブ感受性の治療前予測にもつながり,有効な肺がんの治療が可能となることが期待されている.EGFR遺伝子変異検査は限られた施設のみで施行されており,臨床検査として実用化も不十分であった.検査の普及が望まれ,わが国では2006年4月の診療報酬改定に伴い,遺伝子診断が保険適応となり,肺がんにおいては2007年6月よりEGFR遺伝子異常検査も対象となった.ダイレクトシーケンスによる方法が一般的であったが,現在では様々な方法が提唱されるようになり,外注検査も可能となっている.現在行われている検査(外注可能な検査など)について,更にわれわれの施設で行っているRFLP法によるEGFR遺伝子変異スクリーニングについて紹介する.
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