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心エコー計測法をめぐる最近1年間の話題
1 はじめに
心エコーで計測するものといっても多岐にわたるが,心臓構造そのものの計測と心機能計測に大きく分けることができる.「心機能を評価する=心臓の機能が正常か否かを評価すること」は正しい心臓の機能を理解することである.正常な心臓では末梢臓器の酸素需要をまかない組織灌流を行う血液量と圧を送り出し,かつ肺うっ血を来さずそして運動時にはこれらの機能を増強させることが可能である.心機能を把握するうえで心エコー図法による心機能指標は非観血的で簡便でかつ繰り返し随時に施行できる点で非常に有用である.しかし,計測値には正確で再現性,検者,施設間での差は最小限である必要がある.心機能計測指標の意味,問題点についても十分な知識が必要である.
心エコーによる心機能の評価としては,カテーテル法により観血的に求めてきた心機能指標の代用と心エコーによって新たに求められるようになってきた指標がある.超音波パルスを心臓に向け送信した時に得られるドプラ信号には血流由来の信号のみでなく心臓や弁などの組織の動きに由来する信号が含まれているが,この組織由来の信号を取り出す組織ドプラ法の進歩は非常にめざましい.この方法により局所心筋の運動速度を計測して得られる新たな指標による評価方法の出現がこのところのエコーでの最も大きな変化であり,様々な報告が出ている.特に心室再同期療法における適応については,当初のQRS幅120以上の指標では治療に反応しないnon-responderが30~40%存在することが知られており,心内非同期の存在が重要であると考えられている.この評価には組織ドプラ法が不可欠となってきている.現時点で心臓全体の包括的な機能を評価できるものではなく,左室駆出率(ejection fraction;EF),収縮力(contractility),弛緩(relaxation),左室充満圧(流入圧)(fillingpressure),拡張末期圧(end-systolic pressure)などの指標を計測し,推定値を算出して総合的に判断するしかない.
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