今月の臨床 男性不妊をどうする
AIDの現状と問題点
末岡 浩
1
,
吉村 泰典
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.1214-1218
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903092
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補助生殖技術(assisted reproductive technol—ogy:ART)の急速な発展により,これまで不治と考えられていた不妊原因の一部は,氷山が削り取られるがごとくに次第に治療可能となりつつある.生殖技術の旗手として登場した人工授精のうち,夫以外の精子提供を受ける非配偶者間人工授精(artificial insemination with donor�s semen:AID)は,“重篤な男性不妊因子”のために妊娠が不可能である夫婦に対して行う方法である.しかし,ARTの発展はこの“重篤な男性因子”の適応幅を次第に狭めてきた事実がある.また同時に,これらの生殖技術に対する倫理・法律面での議論があり,わが国では自主的にその臨床応用の幅に制限を設けているということもまた事実である1).そして1997(平成9)年5月には,日本産科婦人科学会の会員に対する会告が発表され,その適応や実施範囲について学会の解釈を明確にした2).
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