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感染性心内膜炎(infective endocarditis;IE)をめぐる最近1年間の話題
感染性心内膜炎は決して頻度は多くはないものの(100万人に10~50人/年間),ひとたび発症すれば致死的な合併症を引き起こす疾患である.なかなか診断がつかず,不適切な治療に時間を無為に費やし重篤な合併症を引き起こしてから診断されることも多い.125年前のOslerによるlectureから現在に至るまでこの古くて依然として重要な疾患に対して様々なガイドラインが作成されている.
IEの診断の定義は『病原微生物が心内膜あるいは大動脈内膜に着床し炎症を生じて組織破壊をもたらす疾患であり,弁膜に疣腫(vegetation)を有する敗血症』であるが,1994年Duke大学が提唱した診断基準(表1)1)では血液培養所見と心エコー図による心内膜障害所見を確定診断の二本の柱としている.また,この診断基準を補足しようとの試みもなされている.AHA2),ESC3)のもの,そして日本循環器学会,日本心臓病学会,日本胸部外科学会,日本小児循環器病学会の合同研究班がまとめた感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン4)においても,a)ハイリスク群に対する適切な予防措置(表2),b)的確な診断,c)有効な抗菌薬の選択,d)合併症の早期発見,f)適切な時期での外科治療について述べられている.また,上記ガイドラインに加え,診断,治療,予後などにおいて多くの考察がなされている5~7).特に手術においては,急性期の感染を乗り越えれば自己弁温存例のほうが予後が良好とされてきており,所見は刻々と変化し得るため,病態を正確に把握し緊急手術を含めた治療方針決定に役立てる必要がある.
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