Japanese
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綜説
Acute Decompensated Heart Failure(ADHF)―今後の臨床研究の課題
Acute Decompensated Heart Failure
佐藤 幸人
1
,
宮本 忠司
1
,
谷口 良司
1
,
桑原 康秀
1
,
藤原 久義
1
,
鷹津 良樹
1
Yukihito Sato
1
,
Tadashi Miyamoto
1
,
Ryoji Taniguchi
1
,
Yasuhide Kuwabara
1
,
Hisayoshi Fujiwara
1
,
Yoshiki Takatsu
1
1兵庫県立尼崎病院循環器内科
1Division of Cardiology, Hyogo Prefectural Amagasaki Hospital
pp.183-191
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100982
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はじめに
Acute decompensated heart failure(ADHF)は比較的急速に呼吸困難を主とする症状を示し,緊急に治療を要する状態である1,2).また予後不良な慢性心不全患者は,ADHFという急激な病態悪化を繰り返して,徐々に進行することが多いのであるが3),従来のADHFの研究は血行動態が中心であった.このため急性冠症候群を除いたADHFにおける疫学,病態生理の解明,治療法,評価法についての論文は慢性心不全と比較して極めて少なく,かなり遅れた分野となっていた.実際Heart Failure Society of Americaの心不全診療ガイドラインでさえ,ADHFでは34項目中,エビデンスレベルA(複数の無作為介入試験で実証されたもの)の記載は2項目だけで,29項目という大半の項目がエビデンスレベルC(専門家の意見としての経験的,疫学的見解)である4).しかし,最近はADHFへの関心が急速に高まり,新しい視点からみた論文が毎月のように発表され,まさに日進月歩の状況となっている.2005年にはEuropean Society of Cardiologyからガイドラインが出され5),わが国でも2006年に急性心不全治療ガイドラインが改定された6).
本稿では,急速に学問的体系を整えつつあるADHFの臨床研究の現状とその問題点について考察する.
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