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Current Opinion
呼吸器感染症に対するスタチンの役割―スタチンの多面的効果(プレイオトロピック効果)
Potential Therapeutic Role for Statin in Respiratory Infections: Pleiotropic effects of statin
白井 亮
1
,
岩田 敦子
1
,
門田 淳一
1
Ryo Shirai
1
,
Atsuko Iwata
1
,
Jun-ichi Kadota
1
1大分大学医学部感染分子病態制御講座
1Department of Infectious Disease, Oita University Faculty of Medicine
pp.1261-1265
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100926
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呼吸器感染症に対するスタチンの役割をめぐる最近1年間の話題
高脂血症の治療薬の一つであるhydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A(HMG-CoA)還元酵素阻害薬はスタチンとも呼ばれ,コレステロール生合成におけるアセチルCoAからメバロン酸の生成される過程を阻害し,肝臓でのコレステロールの合成を抑制する.その結果,肝臓でLDL受容体の合成が促進され,血中からLDLの取り込みが増加し,血清中のコレステロールが低下する.本邦ではプラバスタチン,シンバスタチン,フルバスタチン,アトルバスタチン,ピタバスタチン,ロスバスタチンなどが使用されている.
スタチンを使用した大規模臨床介入試験により冠動脈疾患の発症予防が実証され,このほかにも脳血管障害,腎臓疾患などでも有用性が考えられている.これらの有用性はスタチンのコレステロール低下作用だけでなく,それ以外の機序によりもたらされていると考えられている.このようにスタチンのコレステロール低下作用以外による効果を多面的効果(pleiotropic effect)といい,抗酸化作用,血管内皮機能改善作用,抗炎症作用など多様な作用が現在考えられている(表1).
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