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睡眠呼吸障害をめぐる最近1年間の話題
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が多くの健康被害をもたらすことは,現在では周知の事実となっているが,近年,盛んに喧伝されているevidence based medicine (EBM)の立場からすると,多施設合同の大規模前向き研究により評価される必要がある.SASの主症状は,睡眠中に頻回に出現する中途覚醒(断眠)によってもたらされる日中傾眠などの精神神経症状と,無呼吸による著明なガス交換障害に基づく種々の循環系合併症である.特に,後者は,患者の予後を左右する可能性がある.SASと高血圧,冠動脈疾患,脳血管障害などとの直接的な関連が示唆されているが,EBMとして確立されたものではない.
そこで,1997年,米国において,SASと循環系合併症との関連を明らかにするため,多施設合同の大規模研究がスタートし,毎年,その成果が報告されている.この研究は,Sleep Heart Health Study(SHHS)1)と名付けられ,40歳以上で6,600人の一般住民を対象として,自宅でpolysomnography(PSG)を施行してSASを診断し2),循環系疾患の危険因子との関連を検討する前向き研究である.なお,この研究は,既に進行中のAtherosclerosis Risk in Community Study(1,750人),Cardiovascular Health Study(1,350人),Framingham Heart Study(1,000人)などの他の研究との合同となっている.ある疾患と健康被害との密接な関連が疑われた時,このような大規模研究を直ちに組織し可能にする米国医学会の組織力に羨望の念を禁じ得ない.
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