Japanese
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Current Opinion
高齢者心不全―臨床像をふまえた治療の留意点
Clinical Characteristics and Management for Elderly Patients with Heart Failure
眞茅 みゆき
1
,
筒井 裕之
2
Miyuki Makaya
1
,
Hiroyuki Tsutsui
2
1国立国際医療センター研究所
2北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
1Research Institute, International Medical Center of Japan
2Department of Cardiovascular Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Hokkaido University
pp.1151-1155
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100908
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高齢者心不全に関する最近1年間の動向
慢性心不全は高血圧,虚血性心臓病,心筋症など器質的心疾患の終末像であり,その患者の多くは入退院を繰り返す高齢者である.加齢とともに慢性心不全の有病率は上昇し,欧米の疫学研究では65歳以上の5~10%を占めると報告されている.わが国における高齢化の進行は速く,2005年10月1日現在,65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は20%を超え,2020年には27.8%,2040年には33.2%になると推定されている.このような超高齢化社会の到来により,今後ますます高齢心不全患者が増加することが予想される.特に,入退院を繰り返す高齢の慢性心不全患者が心臓救急の現場で著しく増加しており,有効な対策を打ち出すことが急務となっている.
加齢に伴う動脈硬化の進展により,虚血性心疾患や高血圧を発症し,これらが高齢者心不全の原因として重要である.また,高血圧による求心性肥大は拡張能の低下(拡張不全)を引き起こすが,高齢心不全患者に多い.また,高齢者心不全では,大動脈弁の石灰化による大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症や,腱索の変性・断裂による僧帽弁閉鎖不全症も原因疾患となる.さらに刺激伝導系の加齢変化は心房細動,洞不全症候群,高度房室ブロックを引き起こし,心不全を増悪させる.
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