Japanese
English
綜説
エリスロポエチンを用いた循環器疾患治療
Applications of Erythropoietin Analogues for the Treatment of Cardiovascular Disease
加藤 公則
1
,
鳥羽 健
1
,
相澤 義房
1
Kiminori Kato
1
,
Ken Toba
1
,
Yoshifusa Aizawa
1
1新潟大学医歯学総合病院第一内科
1The First Department of Internal Medicine, Niigata Medical & Dental University Hospital
pp.991-996
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100885
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はじめに
エリスロポエチン(erythropoietin;EPO)の精製はMiyakeらにより行われた1).再生不良性貧血患者尿2.5tからEPOの標品10mgが精製され,これをもとにアミノ酸配列の一部が明らかになり,遺伝子のクローニングのもととなった.EPOの臨床応用は1980年代後半に始まり,日本では1990年に血液透析患者の腎性貧血治療薬として承認された.現在では腎性貧血の治療のみならず,EPOの再生医療領域での応用が期待されている.
肝臓で赤血球造血が行われる胎生後期においては同じ肝臓でEPOが分泌されパラクライン的に働き,また生後には全身性の低酸素や貧血に呼応して腎臓から分泌され,血流を介して骨髄造血を刺激するエンドクラインとして作用する.腎臓でのEPO分泌細胞の特定は困難であったが,最近の研究で尿細管間質の線維芽細胞様の細胞が産生細胞であることが明らかとなった2).一方のEPO受容体は,赤血球系細胞に特異的に発現していると考えられており,実際にEPOまたはEPO受容体のKOマウスは赤血球産生の障害により,妊娠13~15日で死亡する3).EPOの造血に対する生物学的な作用の要点は,既に増殖を開始している赤血球系細胞の生存を主にJAK/STAT経路を介して保障する必須生存因子であり,結果的に赤血球系の増殖因子として観察される.
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