こどものことをもっと知ろう 第44回
胸部単純X線写真の見方—胸腺陰影を中心に
野坂 俊介
1
Shunsuke NOSAKA
1
1国立成育医療研究センター 放射線診療部
pp.1146-1149
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202389
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ここは,とある小児専門病院。
小児麻酔研修中の麻酔科医A:来週麻酔を担当するのは,両側睫毛内反症の7歳女児だな。胸部単純X線写真を確認しておこう(図1)。えーっと,気管内腔は保たれている…,あれ? 右上肺野内側で胸椎に接するなだらかな立ち上がりで上下に拡がるこの陰影は何だろう。気管の圧排や偏位はないな。放射線科のレポートでは,「【診断】上位胸椎右側の後縦隔腫瘍疑い」。胸部単純X線写真正面像のみで後縦隔腫瘍が疑えるのか…。きっと報告書の【所見】部分にある「cervicothoracic sign陰性」,というのが重要なんだろうな。後縦隔腫瘍疑いということは,両側睫毛内反症については,緊急性はないから,来週の手術は延期かな。まずは,依頼元の眼科の先生から血液腫瘍科にコンサルトしてもらおう。
Copyright © 2022, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.