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特集 ALI/ARDSの病態と治療
ALI/ARDSにおける水分・栄養管理,抗菌薬,口腔ケアなど
Fluid and Nutrition Therapy, Antibiotics and Oral Care for ALI/ARDS
竹田 晋浩
1
Shinhiro Takeda
1
1日本医科大学麻酔科学教室・集中治療室
1Department of Anesthesiology & Intensive Care Medicine, Nippon Medical School
pp.641-645
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100816
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水分管理
これまでALI/ARDS(acute lung injury/acute respiratory distress syndrome)における水分管理は様々に議論されてきた.過剰な輸液はALI/ARDSの肺水腫の病状を進行させてしまうため,基本的には循環動態が許せば水分バランスはマイナスとし,できるだけ肺から過剰な水分を除去するように管理が行われるべきであると思われる.また,低蛋白血症,低アルブミン血症は肺への水分の漏出を助長するので補正が必要となる場合がある.
低蛋白血症(total protein≦5g/dl)を合併しているALI/ARDSに,5日間にわたりアルブミン25gを8時間おきに投与(日本でいえば25%アルブミン50ml溶液を8本/日)かつ利尿薬としてフロセミドを1日の水分バランスがマイナス1,000ml以上になるように持続投与したrandomized controlled trial(RCT)がある1).治療群はコントロール群と比較し血清蛋白濃度を早期に改善させ,水分バランスを有意にマイナスにし,酸素化能と血行動態を有意に改善させた.同じような研究で低蛋白血症を合併するALI/ARDSに対し,フロセミド単独投与群とフロセミド+アルブミン投与群とでのRCTがある2).こちらでもフロセミド+アルブミン投与群がより水分バランスをマイナスに管理されたことにより,酸素化能と血行動態に良い影響をもたらしたと報告されている.低蛋白血症を合併しているALI/ARDS患者にとっては,アルブミンを補充しながら水分バランスをマイナスに管理することは,肺と循環に対し良い影響を与えるようである.
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