Japanese
English
綜説
ANCA関連血管炎と肺病変
Lung Involvement in ANCA-associated Vasculitis
小林 朋子
1
,
橋本 修
1
Tomoko Kobayashi
1
,
Shu Hashimoto
1
1日本大学医学部内科学講座内科一
1First Department of Internal Medicine, Nihon University School of Medicine
pp.357-366
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100789
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
ANCA関連血管炎
血管炎は病理組織学的に血管壁の炎症,細胞浸潤,壊死がみられ,全身のあらゆるサイズの血管に起こりうる病態である1).血管炎を来す疾患は数多く,1994年のチャペルヒル会議で各血管炎の疾患概念について再検討がなされた結果,障害を受ける血管の太さに基づいた血管炎の分類が提唱された2)(表1).血管炎を基盤とした多種多様な臨床病態ないし症候群は血管炎症候群と総称される.細小血管炎(small vessel vasculitis)には主に細動脈,細静脈,毛細血管に血管炎を来す疾患が分類され,抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関連血管炎をはじめとして表2に示した疾患が含まれ,病変部位は時に中血管,大血管に及ぶ3).
ANCA関連血管炎症候群には血管炎を主病変とする独立した疾患(原発性)と他疾患に血管炎を伴う病態(続発性)があり,共通に侵される臓器は肺と腎臓である.肺血管炎(pulmonary vasculitis)は通常,全身の血管炎症候群の一症状として発症する4).細小血管炎において肺は侵されやすい臓器であるが,肺固有の病変はなく,病因と全身性疾患としての他臓器病変との関連において特徴的な臨床像を示す.ANCA関連血管炎の開胸肺生検と剖検で得られた肺の病理組織像を表3に示す.二次的に合併した病態に伴う肺病変は鑑別疾患として重要である.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.