Japanese
English
綜説
心筋梗塞への細胞治療
Cell Therapy for Myocardial Infarction
李 桃生
1
,
濱野 公一
1
Tao-Shen Li
1
,
Kimikazu Hamano
1
1山口大学医学部器官制御医科学講座(外科学第1講座)
1Department of Medical Bioregulation, Yamaguchi University School of Medicine
pp.367-373
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100790
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
心筋梗塞は一言でいえば高度の虚血による不可逆性の心筋細胞障害である.近年,急性心筋梗塞に対する早期診断,薬物およびpercutaneous catheter intervention (PCI)などの大きな進歩によって,急性心筋梗塞の死亡率は著しく低下した.しかし,救命された患者が心筋梗塞後の心筋細胞壊死や心筋虚血などにより左室のremodelingを引き起こし,心機能不全になってしまう症例は少なくない.これらの患者に対しては現在,有効な治療法はなく,重症例では心不全から死に至ることも珍しくない.
科学の急速な発展に伴い,心筋梗塞の新しい治療法の開発は大きく進歩してきた.特に,最近数年間の心筋梗塞に対する細胞をベースとした新たな治療法には目覚ましい研究成果がみられ,今後,心筋梗塞後の再生治療手段として大きく期待されている.
本稿では心筋梗塞に対する細胞治療の現状と問題点を中心に論じる.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.