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2003年4月より全国の特定機能病院など83施設で診断群分類に基づく日額定額支払制度が施行となった.本稿では日本版診断群分類の開発経緯,それと結び付けられた支払制度の内容,これら分類ならびに支払制度の問題点・検討すべき課題などについて言及する.
診断群分類とは
診断群分類(Diagnosis Related Group;DRG)という言葉は,米国のMedicare(高齢者向け公的医療保険)で1983年に導入された診断群分類別先払い制度(DRG/PPS)と短絡的に結び付けられてしまうので,まず誤解を解いておく必要があろう.上記米国DRGは,某医療経営管理会社がコピーライトを持つ管理システムの固有名称とほぼ同義である.一方,一般的名称としての診断群分類(DRG)とは,臨床病名や重症度などによって様々な状態にある患者(これを患者ミックスという)を,医療資源投入度の均一性によってある程度管理可能な数のグループにまとめた管理分類法の総称である.いってみれば,われわれ医師が臨床像の相違によって患者を重症度分類し異なった臨床的管理をするのと同じ感覚で,これを医療資源という観点から患者を分類し管理するシステムである.現在欧米諸国に加え,韓国・シンガポール・マレーシア・ベトナムなどでも様々な種類の診断群分類が導入されている.米国版DRGはその後改訂を繰り返し,北欧諸国で使われているNord DRGやオーストラリアで使われているARDRG,フランスのGHMなどの原型となった.国によっては米国版が自国の診療体系・文化にそぐわないために,独自の分類法を開発してきた.英国のHRG,オランダのDBC,そして日本版診断群分類(後述のDPC)がそれにあたる.
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