主張
特定機能病院と地域医療
O
pp.121
発行日 1996年2月1日
Published Date 1996/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901716
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現在,すでに多くの大学病院の本院が特定機能病院に移行している.わずか数年の問で,大学病院と地域医療との関わりは,大きく変化したと言ってよいだろう.それは,いわゆる紹介率を30%以上に保つことが承認要件とされ,しかもわずかとはいえ診療報酬上も紹介率に応じて格差を設定されたことによると言ってよい.この間に大学病院が,地域の周辺の医療機関に連携協力病院として患者を紹介してくれるように働きかけをした努力は相当なものであった.専用の紹介状を作成して配布し,自院が提供することができる高度医療に関する情報を提供し,また逆紹介を行うために周辺の病院・診療所の対応可能な医療機能の調査を実施した大学病院も少なくない.
このような活動が行われたことは,大学病院の歴史においても,また地域の医療体制の構築にとっても前例を見ない画期的なことである.これは,単に紹介率を達成して特定機能病院として承認されること,あるいはより高い診療報酬を得ることのみのために行われたというよりは,大学病院が,地域において患者が最終的に到達するセンター病院としての役割を担っていることを再確認し,現在抱えている多くの外来患者の医療の受け方を見直すよい機会であったと見るべきであろう.大学病院が地域医療との関わりに目覚め,意識改革が行われつつあると言っても過言ではないのである.
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