特集 第2次医療法改正のインパクト
特定機能病院と紹介外来
濃沼 信夫
1
Nobuo KOINUMA
1
1東北大学医学部病院管理学
pp.1064-1067
発行日 1992年12月1日
Published Date 1992/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903780
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はじめに
施設機能の体系化と病診連携の推進は,量から質の時代に入ったわが国の喫緊の医療政策課題となっているが,難渋のうえ本年6月に成立した第2次医療法改正を契機に,これらの実現に向けた動きが活発化している.厚生省の来年度概算要求には,特定機能病院医療連携推進事業,療養型病床群整備の補助などが計上され,10月未には医療審議会で改正医療法に係る政省令案の骨子が固まり,また,改正医療法を経済面から支える来春の診療報酬改定の作業も大詰めを迎えている.さらに,今回は検討がなされなかった,特定機能病院と療養型病床群の中間に位置する医療施設について,その体系化を進める第3次医療法改正が準備されようとしている.
今回の医療法の改正案ならびに政省令案の審議の過程で,特に議論が多かったのは特定機能病院の有する高度医療の概念とこれの承認要件,とりわけ患者紹介率の水準であった.そこで,本稿では,施設機能の体系化と病診連携の推進に不可欠の要素である患者紹介のメリット,デメリットのバランスシート,また,特定機能病院に想定されている大学病院を巡る課題と改革の展望について,私共の実施した調査の結果を交えながら若干の考察を行う.
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