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独立行政法人化に向けて国立大学内での急速な改革,さらには国立大学間での統合,再編が進行しつつあります.名古屋大学では大学院重点化に伴い,旧来のナンバー内科は発展的に解消し病態内科学という名称の大講座となりました.病態内科学講座は分子細胞内科学,器官制御内科学,病態修復内科学,機能調節内科学,代謝病態内科学,免疫応答内科学の6専門分野から構成されています.これらの名称はそれぞれの実態に即していませんが,実際にはそれぞれの分野が血液,循環器,消化器,呼吸器,糖尿病・内分泌,腎臓の領域の診療,教育,研究を担うことになります.病態内科学講座のすべての分野でこの1年余の間に新しい責任者が決定されました.こうした背景のもと,診療面でも従来のナンバー内科講座制に基づく診療科から臓器別診療科へ統合されることになり,大きな変革が始まりつつあります.例えば,循環器のグループは三つのナンバー内科すべてに存在していたのですが,それが循環器内科として一本化されました.呼吸器のグループは二つのナンバー内科にあったのが呼吸器内科として統一されました.すでに病棟も本年4月から臓器別に再編されています.国立大学としては画期的なことであり,信頼され開かれた医療機関として発展していく礎になるものと考えています.このような改革は大学内にだけにとどまるものではありません.旧来の医局と関連病院といった関係から医局の枠を取り払った新しい協力体制の形成が必要です.こうした面でも関連病院のご理解をいただくよう努力が払われています.このような変革は,徹底的に議論を尽くすことによって初めて可能になりました.そのためには随分と時間もかけ,本来の業務にも影響を与えたことは否めません.しかし,そうした努力があってこそ達成されたことと考えています
学部教育ではコア・カリキュラムやチュートリアル教育の確立,臨床実習に入るにあたっての共用試験の実施などの改革が進行中です.多くの大学で卒業後に即入局し幅広い研修が十分に行われていない弊害が社会的にも問題視され,厚生労働省が2年間の研修義務を2004年から開始しようとしています.名古屋大学では関連病院の協力のもとに,1960年代後半からそうした体制が整っており,新しい研修体制に対しても混乱なく対応できるものと信じています.
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