Japanese
English
Current Opinion
肥大型心筋症(HCM)―遺伝子診断,ICDの適応と自然歴を中心に
Current Topics of Hypertrophic Cardiomyopathy
古賀 義則
1
Yoshinori Koga
1
1久留米大学医療センター
1Kurume University Medical Center
pp.1297-1301
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100602
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
肥大型心筋症(HCM)をめぐる最近の話題
肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)が臨床的に認識されるようになったのは1957年のイギリスの外科医Brockの報告1)以降で,それほど古いことではない.本症は当初,左室流出路狭窄を来す疾患として注目され,特発性肥厚性大動脈弁下狭窄(idiopathic hypertrophic subaortic stenosis:IHSS)や閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy:HOCM)の病名で親しまれてきた.その後,心エコー図法などの導入により,本症は心筋自体の異常により非対称性心室中隔肥厚(asymmetric septal hypertrophy:ASH)に代表される心筋肥厚と心室の拡張障害を基本病態とする疾患であり,流出路狭窄は二次的な所見であることが認識されるようになった.そして1980年のWHO/ISFC合同委員会の提案2)以降,肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)の病名が世界的にもほぼ定着した.
HCMは当初から家族性を示すことが知られており,分子遺伝学の進歩は1990年に病因の一つとして心筋βミオシン重鎖遺伝子の突然変異を同定した3).その後も今日まで続々と本症の遺伝子異常の研究が続けられ,臨床病態や予後との関係が検討されている.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.