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はじめに
心不全では交感神経系やレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)などの神経体液性因子が亢進している.このうちアルドステロンは,1)ナトリウムの貯留,マグネシウムやカリウムの喪失,2)交感神経系の活性化,副交感神経系の抑制,3)心筋や血管の線維化,4)圧受容体の機能障害,5)血管障害の促進,などに関与している1).したがって,アルドステロンは心筋障害や慢性心不全の進展に深く関わっていることが予想される.
これまで,RAASや交感神経系の抑制薬は慢性心不全の予後を改善することが示されてきた.例えば,アンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme;ACE)阻害薬はNYHAによらず,慢性心不全患者のmorbidityや死亡率を改善する.ACE阻害薬はRAASを抑制し,その最終産物であるアルドステロンの産生も抑制すると考えられていた.しかし,ACE阻害薬を投与するとしばらくは血漿アルドステロン濃度は減少するものの,長期間継続投与すると再増加することがわかってきた(アルドステロン・ブレイクスルー現象).したがって,アルドステロンの作用を抑制するにはRAASの上流を抑制するのでは不十分で,直接アルドステロンの作用を抑制する必要がある.
CONSENSUS(Cooperative North Scandinavian Enalapril Survival Study)試験では,死亡した患者のほうが生存した患者よりもベースラインの血漿アルドステロン値が有意に高く,心不全患者における抗アルドステロン薬の効果が検討されるようになった.抗アルドステロン薬の心不全に対する効果を検討した代表的な大規模臨床試験にはRALES(Randomized Aldactone Evaluation Study)試験2)とEPHESUS(Eplerenone Post-Acute Myocardial Infarction Heart Failure Efficacy and Survival Study)試験3)がある.
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