Japanese
English
特集 循環器疾患治療の新たなアプローチ:アルドステロンを見直す
抗アルドステロン薬を用いた血圧,体液調節
Effect of Aldosterone Blocker on Hypertension and Cardiovascular Events
西川 哲男
1
,
齋藤 淳
1
,
伊藤 譲
1
Tetsuo Nishikawa
1
,
Jun Saito
1
,
Yuzuru Ito
1
1横浜労災病院内科
1Department of Medicine, Yokohama Rosai Hospital
pp.1231-1234
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100592
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
アルドステロン(aldosterone:ALDO)は副腎皮質球状層で産生される鉱質コルチコイドで,電解質や血圧調節を行っている.最近では,副腎以外に脳,心,血管などでも合成されていることが明らかにされ,その局所にてパラクリン・オートクリン的に作用していると考えられる.その作用に関しては,血管内皮のNOを減少させ過酸化脂質を増加させる.また,ALDOは血管内皮と血管平滑筋細胞にてPAI-1産生を促進する.さらには,ALDOはアンジオテンシンII(AII)受容体活性やACE活性を促進し,血管局所にてAII作用・産生を促している.すなわち,心血管系に負の悪影響をもたらす作用がある.
一方,心不全に対する抗アルドステロン剤の臨床試験であるRALES(Randomized Aldactone Evaluation Study)試験1)(図1)にて,ACE阻害剤単独あるいはALDO受容体拮抗剤のスピロノラクトン(SP)を併用した群で比較すると,併用により心不全症例にて生命予後が延長したことが報告され,抗アルドステロン剤の心血管系への薬理作用に興味が持たれている.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.