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特発性肺線維症の診断と治療に関する最近1年間の話題
1 国際的整合性のあるガイドラインの登場
原因不明の間質性肺炎を特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias:IIPs)と総称するが,近年までその疾患概念や分類は統一されておらず,混乱を招いていた.2000年にAmerican Thoracic Society(ATS)とEuropean Respiratory Society(ERS)が共同で特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)の診断と治療のコンセンサスを発表し1),続いて2002年には同じくATSとERSが共同でIIPsの分類に関してコンセンサスを発表した2).これらの声明の背景には高分解能CTや外科的肺生検の導入による診断技術の向上があった.折しもIIPs,IPFの概念が整理され,診断指針がよりはっきりしてきたといえる.こうした世界の動向を踏まえ,わが国においても国際的な整合性を求めて,2004年に日本呼吸器学会びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会が厚生労働科学研究特定疾患対策研究事業びまん性肺疾患研究班と共同でガイドライン「特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き」3)を発表した.
IPFは,IIPsのなかで最も頻度の高い疾患であり,慢性かつ進行性に経過し,線維化の進行により蜂巣肺を形成する予後不良の疾患である.その病理組織パターンは通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia:UIP)を呈する.IPFの診断は典型的な蜂巣肺を有する典型例では必ずしも肺生検を必要としない.また,なかには蜂巣肺がなく臨床的に診断が難しい場合があり,このようなときには外科的肺生検が考慮される.今回のガイドライン(第四次改訂診断基準)では,IPFの臨床診断基準と,外科的肺生検を行った場合の診断基準が分けて記載されている.詳細は「診断と治療の手引き」を参照されたい.
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