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背景
心室頻拍(VT)に対するカテーテルアブレーションは,血行動態が不安定であること,複数のVTが誘発されること,その回路が幅広く心筋内深くに存在しえることなどから,困難であることが珍しくない.従来のアブレーションは,マッピングによる局所電位の性状を頼りに異常低電位部位を同定し,pace mapとentrainment mapを併用してVTの回路を探すことで行われてきた(詳細は成書に譲る).マッピング部位の解剖学的情報は透視のみに頼っていた.しかし,長時間に及ぶアブレーション中,正確に低電位部位,VT回路の位置を記憶することは非常に困難なことであった.しかし,近年,電位的情報,解剖学的情報を3D表示するマッピングシステム(electroanatomical mapping system,CARTO)が開発され正確な部位や情報の記録が可能になった.VT中にマッピングを行えば回路の興奮順序をカラーコードで表示することが可能である(activation map).最早期興奮部位は赤で,黄,緑,青,紫の順で記録される.また,voltage mapに変更すると局所電位のamplitudeもカラーコードで表示できる.voltage最大値を1.5mVに設定すると正常電位は紫で表示され,それ以外のカラーで示される部位は異常低電位部位と考えられる1).
陳旧性心筋梗塞に伴うVTの大部分では心内膜側からアブレーションが可能であるが,下壁心筋梗塞に合併するVTの約15%が心外膜側の回路によると報告されている2).また,本邦で頻度の高い,拡張型心筋症のVTの約30%が心外膜側起源であるため3),心内膜側からirrigation tip catheter,cooled-tip catheter,8mmなどのより大きなアブレーション・リージョンを作るカテーテルを用いても焼灼が困難であることが多い.
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