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はじめに
急性肺塞栓症は本邦においても増加している致死的疾患であり,その急性期死亡率の高さから大きな社会問題となっている1~3).2004年に起きた新潟中越地震でも,急性肺塞栓症による多数の死者がでたことは記憶に新しいところである(2004年11月2日の時点で11例が発症し,4例が死亡;死亡率36%,図1).
致死的な急性肺塞栓症に対する治療としては,ウロキナーゼやt-PAを用いた血栓溶解療法がゴールドスタンダードであり広く行われている.急性肺塞栓症に対する血栓溶解療法の有効性に関しては異論のないところであり,良好な成績が世界各国から報告されている4~7).しかし,1)血栓溶解療法の効果はすぐには出現しないために循環虚脱例に対する効果が不十分であること,2)血栓溶解療法が成功するか否かの予測ができないこと,3)血栓溶解療法が絶対的禁忌となる疾患(2カ月以内の脳出血および開頭手術,10日以内の大手術,網膜症を伴った重症高血圧,活動性の出血,コントロールされていない血液疾患,重症の肝不全と腎不全,妊娠中および分娩10日以内,長時間にわたる心肺蘇生術後など)に急性肺塞栓症が発症する場合が少なからずあることなどから,血栓溶解療法だけに固執していると致死的あるいはハイリスクの急性肺塞栓症を救命できない状況も存在する8~10).
急性肺塞栓症の死亡の多くは,発症直後の急性循環虚脱による死亡と早期再発による死亡によることより,いかに発症直後の急性循環虚脱より離脱させうるかが救命かつ社会復帰のための大きなキーポイントである.致死的あるいはハイリスクの急性肺塞栓症に対するカテーテル治療の一番の利点は,迅速かつ確実な肺血流の再開が比較的容易な方法により得られることである.
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